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<院長のブログ>

< 3Dは救世主?>

最近、金(ゴールド)の価格が急騰しています。

1グラム=19000円 とか。もうすぐ、20000円も行くのでしょうね~。

歯科治療に欠かせない金合金もこの原材料の高騰によって、治療費を考え直さないといけなくなっている歯科医院が増えているようです。治療費というのは、技術代、材料代、消耗品(ペーパー、ディスポ注射器。型取りの印象材、技工代、人件費、光熱費、等の総合的な経費のことです。これを患者さんにお願いしているのですが、健康保険ではそもそも物価高騰を想定しておらず、政治的あるいは行政的に診療報酬が改定されるのは、来年になるなど、かなりのタイムラグがあります。そのあいだに経営が苦しくて深刻な経営悪化で倒産する歯科医院も増えているとの調査統計が先日、出ました。

そんな金属の価格高騰や諸物価、原材料、石油製品の高騰で、歯科治療のメインでもある「修復治療」にメタルが使えなくなる心配があります。メタルを買い置きするのは、歯科医院側が多いのですが、もはや個人の歯科技工士がメタルを買い置きしておく経済状況にないからです。一方、歯科医院でも最近のメタル急騰で買い置くのも厳しく、ままならなくなっているようです。

幸いなことに私のところでは、常に変わらずご理解ある患者さんが殆どで、必要なものなら経済的に許す範囲で最善の治療を受けたいという方ばかりです。これは治療させていただく側としては、ほんとうにありがたいことです。残念ながら、健康保険の歯科治療には平均的なデータにもとずく診療報酬の設定しかできませんので、治療の「質」という部分では諦めていただくしかないのが実情です。なぜなら、保険診療は、薄く広く平等に現物支給だけという形になっているため、診療内容の質の保証は法律的にもありません。応急的なものでしかないのです。

そんな背景から登場したのが3Dプリンターによる削り出しの歯です。一般工業界、精密加工の分野から派生したもので、写真にあるようなプラスチックのキューブをデータに従ってミリング器械が歯の形に削り出すというものです。メタルの高騰で歯科治療の世界からメタルが消えて、このプラスチック削り出しの歯を入れるのが通法になっていくのかもしれません。それは、歯科医院、歯科技工士の双方にとって救世主となるかもしれないということなのです。