- コラム -

/ リンクサイト

<院長のブログ>

 

藤の奈良

藤の花が咲く頃、年中行事のために奈良を訪れます。

京都から乗り換えて奈良、そして今年は初めて長谷寺を訪れました。あいにくの小雨でしたが、長谷寺駅から徒歩で約20分、参道を歩くと間もなく本堂への階段が待っています。ようやく本堂へ着きます。長谷寺は、真言宗の古刹です。古くて大きな観音様が出迎えてくれます。境内が広大で、一面、どこと云わず花が咲いていることから、「花の御寺」と呼ばれるほど。ちょうど、季節は牡丹でした。色とりどりの牡丹が雨の露をうけて色鮮やかに咲き誇っていました。境内の外れには、藤原俊成、定家父子の碑が残っており、源氏物語の玉鬘によせたものでした。昔から、長谷詣でと言われるほど、この長谷寺は参詣の土地で、さらには奥の室生寺まで足をのばすひとが多かったようです。帰路途中、茶店でいただいた「三輪素麺(にゅうめん)」と草餅の焼いたものがとても美味しく、いい旅の思い出になるものです。奈良へ戻って、京都からの和歌仲間たちと夕食です。奈良野菜や地元のお肉を中心にしたフレンチは数年ぶりの来訪でしたが、変わらない美味しさでした。

翌日は、雨があがり、一転して夏のような晴天。年中行事は、私の家が藤原北家秀郷流であることから氏神である春日大社でのものでした。日本全国から集まった子孫、末裔たちが年一回、ここ春日大社に集まり、神事と親睦のひとときを過ごすのです。京都からの仲間たちにも同席していただいて、普段、世間から誤解されがちな藤原氏の「いま」をみていただきました。今年の大河ドラマ「光る君へ」はまさにこのあたりの話ですから耳目を集めるのは仕方ないことです。みんながドラマだと知って観ているのですが、なかには元・公家のひとが「ドラマだから実態とはかけ離れた内容だ」とか「もっと演出家は考えて作らないと失礼だ」とつぶやく声は、野暮なことです。私は個人的に装束も綺麗だし、有職故実をそこそこに再現しているキレイなドラマだと思います。批判めいたことを云う元・公家の人たちこそ「では、あなたはほんとうの平安時代を見たのですか?」と聞きたくなります。公家の必須である和歌・雅楽・書・香・華などの歌舞音曲すら何一つ出来もせず、過日の栄華を誇るだけの姿こそ滑稽です。時代が変わったから平安の教養は必要ないというなら、そのプライドも必要ないでしょう。

さて、今回の奈良、初めてのオーバーツーリズムを体験しました(笑)道路はまったく動かず、人であふれかえる古都でした。もし、奈良へ行く予定の方がいらしたら、タクシーはやめて、スニーカーを履いて歩くか、レンタサイクル(スマホでOK)をオススメします!